ししとうブログ

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【脳トレ】塗り絵が認知症予防になる理由を徹底解説!

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塗り絵が認知症予防に効果があるのはご存知でしょうか?

脳トレとして注目を集めている、塗り絵という活動は、一体どのような効果をもたらしているのかを今回ご紹介していきます。

 

筆者は作業療法士というリハビリテーションを専門とした職業に従事しています。

認知症患者様や高齢者の方に対して、塗り絵を提供する事も多々ありますので、専門的な視点からみた意見も併せてご紹介します。

 

目次

 

塗り絵の効果、作業特性

記憶力の維持、改善

当たり前ですが、塗り絵って基本的には下絵がありますよね?

 

塗り絵を行うためには、

  • 下絵が何であるかを認識する
  • その絵に即した色を選ぶ

という過程を経て、実際に塗る活動に移ります。

 

下絵の把握や色の選定は、自身が今までの人生の中で経験・記憶した情報を想起して行います。

 

つまり取り掛かりの時点で、自分の記憶を思い出す作業があるため、記憶力の賦活に繋がるのです。

 

記憶にも様々な種類がありますが、

認知症によって衰えてしまいやすいのが、“短期記憶”と呼ばれるものです。

 

「つい五分前の事を忘れてしまう」というのは、短期記憶の低下が疑われます。

 

しかしそのような方でも、意外と若い時の事は覚えていたりしませんか?

 

新しい物事を覚える事は難しくても、今までの出来事などの記憶“エピソード記憶”は保たれている事が多いのです。

 

先ほどの塗り絵に関する記憶は、比較的保たれている記憶を発揮する事が出来ます。

記憶の中で、発揮出来る部分をしっかり使う事で、その他の記憶に関しても改善する事が明らかにされています。

 

 

集中力・注意力の向上

塗り絵には、集中力注意力を向上させる効果もあります。

 

基本的には、枠の中を塗っていく作業だけなので、『同じ作業を続ける集中力』が養われます。

 

また、途中で色を変えたりする場面では『物事や思考を切り替える注意力』が必要になります。

この注意力は、その場に適した行動を取ることなどに繋がる重要な機能です。

 

塗り絵をする事で、自然にこれらの脳機能を用いながら賦活出来るのです。

 

視空間認知機能の向上

あまり聞き慣れない言葉ですが、塗り絵は「視空間認知」という脳機能も働かせる事が出来ます。

 

視空間認知とは簡単に言うと、視覚情報を元に、頭の中で物体や空間のイメージを作る事です。

 

この視空間認知は、運動機能や記憶力と関連があると言われており、脳トレの中でも重視されています。

ブロックパズルや折り紙は、視空間認知を養う代表的な活動ですね。

 

塗り絵は平面の二次元上で、枠からはみ出さないように色を塗っていきます。

三次元の活動よりも、難易度が低いため気軽に出来るのが特徴です。

 

 

高齢者、認知症患者にオススメ出来る理由

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馴染みがある活動

高齢者や認知症患者は、新しい活動を理解したり覚えたりする事が難しくなってきます。

(もちろん、新しい事をどんどんする方もいますよ)

 

そのため同じ脳トレでも、初めてやるような活動より、経験、つまり馴染みのある活動の方が取り組みやすい傾向にあります。

 

塗り絵は年代問わず、子供の時に一度はした事のある方がほとんどだと思います。

 

部屋に籠もりがちな患者さんも、塗り絵をしに食堂に出てくる方もいるくらいです。

 

 

作業工程が分かりやすい

塗り絵の効果の説明で、脳の色んな機能を使う事が出来ると話しました。

 

ただし、作業工程に関して言えば、非常に明快で分かりやすい活動です。

 

下絵と色鉛筆があれば、何をするのか分かってしまいますよね。

高齢者や認知症患者にとっては、「何をするのか」 「どうやってするのか」という部分を明確にしてあげる事が重要です。

 

 

正解、不正解が無く作品として成り立つ

意外と大事なのが、成功体験。

せっかく頑張っても、失敗してしまうと、もうその作業はしたくなくなる事が多いです。

 

特に認知症患者は、「こんな事も出来ない」と自尊心を傷つけてしまう事が珍しくありません。

 

塗り絵は、上手下手はあれど、失敗はありません。

どのような形でも、1つの作品として残す事が出来ます。

部屋に飾ったりする事で、達成感だけでなく、以前行った時の事を思い出す手掛かりにもなります。

 

 

準備が少ない・好きな時に辞めれる

塗り絵の本と色鉛筆があれば準備OK!

 

手間がかからず出来る事は、本人だけでなく周囲の家族などの負担も少ないですよね。

 

また、疲れたらすぐに辞める事が出来るのも塗り絵のメリットです。

気が向いたら、続きを出来るんですから。

 

一度始めたら最後までしないといけない作業は、精神的にもストレスになりやすいです。

 

なるべく、当人の無理のない範囲で行える活動が適していますね。

 

 

まとめ

塗り絵の素晴らしい効果、いかがでしたでしょうか?

 

最近は、大人の塗り絵なるものが流行っているようです。

身近な活動なのに、脳のトレーニングになる塗り絵。

ぜひこの記事を参考に、周りの人に勧めていただけたらと思います。

 

認知症の方におすすめの塗り絵はこちら