将棋漫画“或るアホウの一生”打ち切り作品なのに、おすすめする理由
裏サンデー公式サイトより引用
“ジョジョの奇妙な冒険”など、どこか他と違うお洒落な空気感を持つ漫画が、一部では流行っています。
将棋を題材にした人間ドラマと、奇抜ながらスッキリした作画が融合した、そんなお洒落なある漫画をご存知でしょうか。
今回は、『或るアホウの一生』(作.トウテムポール)という漫画をご紹介します。
目次
あらすじ
“むちゃくちゃ強いはずのオレが負けっぱなし、なぜならまわりも強いから。
まっすぐといえばまっすぐ、バカといえばそうかもしれない高校生・瞬がのたうちまわる、将棋野郎成長群像劇。
強いって、なんだ!?”
この漫画の醍醐味は、最後の一文“強いってなんだ!?”に集約されていると思います。
将棋のプロを目指す人達の登竜門、「奨励会」でくすぶっている主人公。その周りを囲む、仲間でありながらライバルである人間達との、リアルな関係をコミカルに表している作品です。
主人公にしっかり魅力がある
当たり前の事なんですけど、主人公に魅力がある漫画というのは根本がブレません。
“高以良 瞬”は、言ってしまえばアホウなんですが、将棋へ向き合う真摯さと突拍子も無い行動力が、見ていて気持ちいい人物像です。
将棋に勝てない自分を一新するために、歌舞伎メイクをしてみるという、読んでいない人には訳が分からない行動もしています(笑)
ただ、そんな天然キャラの反面には、奨励会で切磋琢磨している棋士としての真面目さも伺えます。
常日頃考えている事の大半が将棋のこと。
負けて泣いたり、悩んだりしますが、勝っても謙虚に次の段階を見据えています。
そういった棋士としても魅力があるのが、本作の主人公です。
本物のプロが棋譜監修
この作品、なんと棋譜監修をハッシーこと“橋本崇載八段”が務めています。
将棋ファンの人はお馴染みの橋本八段。
2004年度のNHK杯テレビ将棋トーナメントに出場した際、金髪のパンチパーマという髪型に、紫色のワイシャツを着用して出場するという、歴史に残る奇抜さ。
あれ……?高以良の奇抜な行動は、橋本八段から受け継いだのでは?(笑)
ただし、腕前は相当なもので、将棋に対しても真剣に向き合っているのが棋戦からも伝わります。そのためファンも多く、ハッシーという愛称で親しまれています。
そんなプロが棋譜を監修していますので、所々に出てくる対局シーンでは、とても細かい描写まで配慮されています。
将棋ファンの方も納得出来る仕上がりといっていいでしょう。
将棋人生をもがく人々のドラマ
この漫画の面白いところは、プロが棋譜監修をしているにも関わらず、将棋を指しているシーンが少ない事。将棋を題材にはしていますが、対局がメインではなく、あくまで人間ドラマをテーマとした作品なんです。
プロになるには、一緒に歩んできた仲間との対局もあります。皆揃ってプロになれる事はないという現実の中で、様々な想いを僕達読者は見ることができます。
実の師匠からこんな事言われたら卒倒しそうです(笑)
しかし、コミカルな画風の中に、本当にプロの棋士になる事の大変さが分かる、シビアな世界観も演出されているのが凄いところですよね。
実は打ち切り作品!?
こんな面白い作品がなぜ打ち切りに…。
ファンも多いですし、理由がわからず悲しむ人が続出しました。
しかも完結作の4巻は単行本で出ないというトドメの悲劇。
作者自身が明かしていますが、
「単行本が売れなかったから」という理由で4巻は打ち止めになったそうです。
電子書籍が増えている影響もありますが、非常に悔やまれます。
しかし、現在裏サンデーにて最終話の閲覧が可能です。
僕個人としては、たった3巻しかない作品なのに、こんなにも確立した世界観を作っている事が本当に凄いと思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
休日のひと時にサッと読めてしまうこの作品。
他人、自分と向き合う事の大切さがわかるおすすめの打ち切り漫画。
最近、書店で見かける事が減ったので、
お困りの方はこちらからどうぞ。